ダイの大冒険(2020)第85話が放送された。タイトル「大魔王バーン」が放送された。ダイとバーンが剣を交える一方で、ミストバーンの攻撃でピンチに陥ったポップを合流したヒムが救うあたりも描かれた。

今回、エピソードタイトルが原作にはまったくないものがつけられていたのが面白かった。大魔王バーン自体はもっと以前から出ているキャラクターではあるものの、あえてここで「大魔王バーン」と出してくることで、ようやく本気の大魔王バーンの登場と印象づけているともいえる。

一瞬地上が描かれて、フローラやロン・ベルクがバーンパレスが落ちてこないことについて議論を重ねるシーンがある。ここ、冷静に考えると、なぜこんなにみんな冷静なのだろうか。もしバーンパレスが浮遊できない物質であったら、ここでバーンパレスが一気に墜落して、フローラたちは真下で潰されて全滅するのではないかと思うのだが…。ある意味でここは、バーンの意思決定を信じていたのかもしれない。つまり、バーンほどの人物が、自分の魔力が伝達できないからといって地上に墜落するような物質で空飛ぶ居城は作らないであろう、という信用である。

ダイとレオナがゴロア(のもともとのモンスター)を見つけるシーン。私はここで原作漫画で書き込まれていた手書きのセリフ「あ、転んだ」について、じつはずっとダイのセリフだと思っていたのだ。しかし今回、レオナのセリフとして演じられていたことで、びっくりした。なんと、これはレオナのセリフだったのか…!いやはや、こういう発見が楽しめるのもアニメ化、といっても単なるアニメ化ではない、今回のこの圧倒的にダイ愛の深い制作陣によるアニメ化であるからこそ、納得であり発見が楽しめることがありがたい。

ダイとレオナが上方に飛び立つところ。原作ではさらっと無言で描かれていたが、アニメではダイがレオナを連れ立ってルーラで飛び上がっていくところがしっかりと動きもつけて描かれていた。このあたりもよかった。

さてこのあとで、ミストバーンとポップ、マァム、ラーハルトの3人との闘いが挟まれる。このあたりは原作とは描く順番が少し異なっている。原作だともう少しだけここはあとになる。のちにヒムが助けに来るところのインパクトを出すために、あえてこのミストバーン戦での打つ手のない状況を先に小出しにしておいたということだろうか。

そしてダイとレオナが天馬の塔の最上部についたところに舞台は戻るが、ここで引きのカメラでグッと天馬の塔の大きさを示すようなカメラワークが入った。
また、このあとで出てくるバーンのところ、原作のときは、バーンが出した指からの魔法というのは、瓦礫をどけるためだけだと思っていたのだが、アニメでの描かれ方を観て、この攻撃魔法がダイたちのほうにも飛んできていたことがわかった。なるほど、ダイは瓦礫からレオナをかばったと言うよりバーンの魔法からレオナをかばったというほうが近いようだ。このあたりの描き方もまたおもしろい。

あとはバーンの魔法力開放も、原作だと「かああ!」という声であったが、アニメだともうちっとなんというか表現の難しい?声だった。

そしてバーン様による双竜紋の解説コーナーが入るが、ここで原作だとバーンは「テクノロジー」といっていたがアニメだと「技術」になっていた。あと、原作だと「混血児」と言っていたところが「バランの息子」となっていた。ほかにも微妙な違いがあって、長台詞をアニメ化するとやはり色々と違いは出るなぁと思ったりする。

ダイの攻撃を食らって倒れたバーンが立ち上がったところで「ぬうう」というところ、これ原作だともうちょっと威厳のこもった感じかと思っていたが、アニメだとなんかもうちょっと悔しそうな感じが出ているのが面白かった。

あとはバーンが全般、黄金色な感じで描かれていて、青っぽいダイと色の対比が出来ているのが興味深い。ゴールデン老バーン様。ハドラーが赤だったことを考えると、3人そろって信号機カラーと言う感じがする?ぜひ揃い踏みも観てみたかったところである。

カラミティウォールについて、それを分析するとき、原作ではフォントが変わって横書きで「衝撃波の光壁…」という分析が書かれていた。なので、私はAI紋章によるロボットボイスの分析を想像していたのだが、アニメではダイがふつうに自分の声で分析していた。原作のほうが、よりダイの意志とは別個の存在として竜の紋章があるかんじだが、アニメのこの描き方だとすでにダイの思考の中に紋章が融合しているように感じられる。

原作だと、このあとでバーンによるダイの「スカウト/口説き」が入るわけだが、アニメではまたちょっと順番が変わっていて、ここでヒムがポップをビュートデストリンガーから救う場面が入ってきた。バーンがダイを口説くシーン、これはドラゴンクエスト1からある「世界の半分をやるから仲間になれ」のオマージュであると思うが、個人的にはダイの大冒険の交渉/やりとりのなかで特に好きな場面である。それについては、今週のバトルシーンの中に続けるよりも、次週改めてじっくり描く形をとってくれて、楽しみが来週に持ち越しになった感があって、いやぁ早く来週がみたい。

次回予告を見る感じだと、次回の主たる場面はヒムvsミストバーンと、アバンvsキルバーンになるだろうか。しかしよく考えると、この大詰めにきて、3つの重要なバトルが同時展開されているというのは、改めてこの原作の物語の組み立て方の見事さを感じるところである。

しかしまあ野暮ツッコミではあるけど、ダイのドラゴニックオーラの使いっぱなしガス欠問題と、バーンが光魔の杖に魔力吸われて魔力ガス欠問題は、どっちもなかったことになっているような気がするのだが、ここに関しては両者相殺、どっちも観なかったことになっているのかなぁ…(笑)。
※ダイのドラゴニックオーラについてはPodcast 084回で、かつてガス欠したときにはバラン戦の後遺症?回復しきってなかったため?という説も出た。あとは双竜紋になったことでオーラの総量が激増したためガス欠しなくなってたとも言えるかもしれない。だがバーンの魔力についてはどういう説明があるだろうか…!?


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る