ダイの大冒険(2020)第64話が放送された。ロン・ベルクが武器をもって人間たちの砦に合流し、そしてポップとマァムの決戦前夜の会話や、ダイが夢の中でソアラとバランに出会うシーンが描かれた。

ロン・ベルクが武器を並べるところで、ポップが不在であることが確認されるシーンが追加された。そのとき、ポップの所在について、ゴメちゃんがピピーというときに、すかさずチウが人間語に翻訳してダイに伝えていた。なんと、ダイはゴメちゃんの言っていることばがわからなかった&チウにはわかるのか!チウ、翻訳として有能という新しいロールが登場である。
しかしそれでいうと獣王クロコダインさんあたりは、すべてのモンスターの鳴き声言語を人間語に翻訳できるのか?だとしたらとんでもない翻訳能力である。
そして全知全能の大魔王バーンは、モンスターの鳴き声言語がわかるのか?これもちょっと興味深い。

マァムが魔甲拳をあけるところ、ダイ好きTVでも言及されていたが、ビリビリと包みを破るのがちょっとおもしろい。
そして出てきた魔甲拳がなんとピンク色!ええ、これピンクだったの?てっきりシルバーとかのメタル色だと思っていた。
とおもってジャンプコミックス27巻の表紙画像をみてみたところ、たしかに魔甲拳はピンク色だった。そうだったのか。知らんかった。

チウがズタズタヌンチャクを受け取るシーン。てっきりカットされちゃうかもと思っていたが、ちゃんと描かれていてよかった(笑)。

しかし、ロン・ベルクの会話シーン、ほんとにいつも酒飲んでいるし、酒の瓶の酒のゆれる音が響き渡る。飲み過ぎだろう(笑)。
あと、原作にあった「全く気がそがれたぜ」からのロン・ベルクのセリフがなくなっていた。

そして登場、エイミさんの独演会である。ほとんど原作そのままに熱い思いが演説された。なんなら作中で一番熱い恋愛感情を話したのはなんならエイミではなかろうか。むしろこのエイミのアクションによってアバンの使徒たちも恋愛について意識することになったように思うと、実はエイミのもたらした影響ってめちゃくちゃ大きいんじゃないか。

あと、「あなたみたい美人をふるとはなんという」というセリフがちょっと短縮されていた&発話していたのが名もなき兵士ではなくてフォブスターに変わっていた(笑)。そのあとのエイミの返しもちょっとカットされていたが。
そのあとのレオナとダイの会話もわりとざっくりカットされていたのはちょっと惜しいなと思った。もちろん時間の都合上しょうがないのだとは思うが、原作にあった「個人の気持ちの方が大事よ、ダイ君。私たちはこの心で大魔王に勝つんだもの」というのは蓋し名言だったと思う。ぜひどこかでアニメの中で登場させてもらえないかなとはちょっと思う。

CM明け、いよいよ登場、ポップとマァムの会話シーンである。
原作だとポップの背中の描写が多く、ポップの気持ちというか自分の気持ちをコントロールしきれず思わずかっとなってしまった様子が伝わっていたが、今回のアニメでは夜である画面の暗さをうまく使ってポップの表情を見えにくくして、うまく感情を受け止めきれない様子を表現していたのがうまいなと思った。
そしてそこからのブラックロッドぶん投げ爆発による光の明るさによって、ポップの驚きが伝わり、そこから「やるっきゃねぇ」の思いにつながっていくところがいい具合に描かれていた。最後、満月が夜空に輝いていたのがよかった。

あとは場面かわってチウが獣王遊撃隊のバッジをくばるところ、なんとバッジはオレンジ色だった。知らなかった。そしてちゃんとバッジを作ってもらおうとするところと、チウがずっこけるところまでもきっちりアニメ化されていた。なんならここが本編最後のギャグシーンかもしれない。

そして飲兵衛ロン・ベルクが戦闘参加を宣言するところ。本当にこのひとはいつも飲んでいる。あそこまで飲んで、戦闘力は下がらないのだろうか。ひょっとして魔族はアルコール分解能力が人間とはぜんぜん違うのであろうか。このあたりは疑問である。

ダイが眠れなくてメルルに夢見の実をもらうシーン。原作では皿洗いしていたメルルが、アニメでは薬草の仕分けに変わっていた。これは現実世界の時代背景的変化、すなわち女性だけが家事をするというステレオタイプ描写を変えようという意図なのか、そもそも世界最後の決戦前夜に皿洗いしなくてもいいだろ、ということなのか。

ダイの夢のシーン。ここはよかった。わざわざ夢であることがわかるように夢のようなフィルターを画面にかけつつ、音楽に乗せて無言でシーンが進み、最後のダイの決意のところで服がいつのまに戦闘用の装備に変わっているのが夢であることを示しているようでよかった。原作も改めて見るとそのような描写になっていたが、ここはアニメだからこそそれが伝わり、原作に立ち戻って二重になるほどと思える、そういう良さがあった。

翌朝になって4人で決戦前の気合を入れるところ。レオナが「失敗は絶対に許されない」と言い切るのが、ポップにとってはプレッシャーになる。しかし、これよくいう組織論的な「失敗の許されない組織はうまくいかない」というシンプルな話じゃないよなぁと思う。なんせ、世界の終末をかけた決戦なのだ。レオナのいうとおり、基本的に次はない。とはいえ、ポップにとってプレッシャーがかかり、それが緊張が続いていく一因になっていることも否めない。さて、この場面ではレオナはどんなことばをかけるのが良かったのか。難しいところだ。


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る