この記事は ポッドキャスト配信について語る Advent Calendar 2022 の2日目の記事です。


私(Masaki @endofocean )は今年2つのPodcastを終わりにした。
もう少し補足すると、1つのPodcastは突如終わりにして、別の1つのPodcastは予定通りに「ほぼ終わり」にした。
それらがどのように終わりを迎えたのかを述べたい。

1つめの突如終わらせた番組名は 倍速でどうぞ というものである。テーマは倍速。そもそも開始したのが今年の7月。当初は私1人で、倍速でコンテンツを視聴することに対しての情報や見方を語り始めたニッチな番組であった。しかし途中から、Podcastをやっている人をゲストに迎えて対談する企画が増えてきた。
10月下旬にゲスト対談を収録して、それを11月頭に編集・公開したときに、自分の中で「ああ、もうこの番組は終わりでいいな」と思った。そこで、突如終了にした。およそ4ヶ月の番組だった。

そもそも番組の始まりが完全に思いつきだった。テーマがニッチ過ぎて、別に私の人生にとって大切なテーマでもなんでもなく、自分でもそこまで興味が長続きするとは思っていなかった。ただ途中からゲスト対談回を増やしたことで、番組のピボットが起きていった。1人語りだと飽きていた部分で、対談からよって生み出された知見や感情の波が楽しさを生んでいった。

楽しかったのに、なんで終わりにしたのか。多分理由は2つあって、やっぱり1つは最初に提示したテーマの「倍速」がそれ以上深く掘りたいという気持ちが湧かなかったからかなと思う。そしてもう1つは、何人もの人とゲスト対談を収録・編集したことで自分の中で得たいと思っていた経験が得られ、そこに満足したからだと思う。

実際番組を終わらせてみたら、これが思っていた以上にスッキリしたし、なんの後悔もなかった。いやもちろん、終了などといっても勝手に自分の中で決めてることだからいつだって再開できるわけだが。それでも終了から1ヶ月経って、特に再開したい気持ちが湧いてこないところを見ると、多分その決定で良かったのだろう。もちろん、決定の納得感を高めるために自分の感情を無意識でそちら側に振っている可能性も充分あるけども。

さて、ほぼ終わらせたもう1つの番組というのは、Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る、というアニメ&漫画のダイの大冒険のことだけを語るPodcastである。

これは2人でやっている番組でもあり、その相方の人と終わりにする合意をしたというわけではないので、正確に言うと終わってはいない。ただし、これまでやっていた更新頻度で配信する可能性は限りなく低くなっているという意味では、ほぼ終わりという表現をすることは私の感覚ではズレていないので、そのように表記をしておきたい。

そもそもこの番組は、2020年10月から、アニメ・ダイの大冒険が配信開始されたことをきっかけとしている。そのアニメのエピソードの感想を毎週語るというのがCast a Radioの最大の特徴であった。そしてアニメは、2022年10月に全100話をもって完結した。そしてその第100話の感想を収録・配信したことで、このCast a Radioの毎週更新も、めでたく終わりを迎えた。
そのあともパラパラとCast a Radioのエピソードを更新はしているが、前述のとおり、毎週更新することはもうない。なぜならもう、アニメが作られないからだ。

このCast a Radioのアニメ感想配信を2年間毎週続けたことにについて、Podcast ドングリFM さんの第911回で取り上げていただいた。

このブログ記事を読んでくださっている方へのお願いがあるとするなら、Cast a Radioは聴かなくていいので(笑)ぜひこのドングリさんの配信は聴いていただけたらと思う。「続けることの重要性」を、パーソナリティのなつめぐさんとなるみさんが語っている。それを聴きながら、なんで私は2年間、Cast a Radioを続けてこれたのかなぁと考えていた。

多分大きな理由は2つある。
1つは、他人の評価(とりわけ量的なもの)をまったく見ず、配信することだけを面白がっていたからだと思う。Podcastでも、たとえばAnchorなどの配信プラットフォームを使うことで、フォロワー数やリスナー数のデータを無料でかんたんに取ることができる。そうなると、好むと好まざるとにかかわらず、その増減を目にできてしまう。
数には中毒性がある。あるいは毒性がある。もちろん数が分かるから定量的検証は成立するわけだが、それが必ずしも感情と相性がいいとは限らない。
少なくとも私は、Cast a Radioを続ける中でほとんど数字を見てこなかった。ただ単に、作っている側の満足でやっていた。実際フォロワー数は配信1年経っても10人にも満たなかったけれど(笑)楽しかった。語るということ、出すということがすべてだった。

もう1つの理由は、1つめの理由と矛盾しているように見えるのだが(笑)聴いてくれた人のフィードバックがあったことだと思う。ただこれは、数ではなく、際立った個のフィードバックであった、ということが大きかったと思う。
番組を始めて数ヶ月の時点から、お2人のリスナーさんがついてくださった。ツイッターで、その方々が都度都度に感想を寄せてくれた。
こんなニッチで、アニメ公式でもなんでもない、素人のおじさん2人がただアニメの感想を話しているだけのPodcastを聴き続けてくれ、そして言葉で感想を寄せ続けてくれる人がいるということ。
これがサクセスストーリーだったら、ここからどんどんファンが増えていくんだと思うのだが、私が改めて良かったなと思うことは、このリスナーさんが全然増えなかったことである(笑)。それが面白いと思った。これはスケールしない。デジタルを駆使して、世界中の誰にでも届くように発信しているはずなのに、まったくスケールする気配がない。それがむしろすごいと思えた。

結果的には、少しだけリスナー/フォロワーの方は増えることになった。これは前述したドングリFMさんの中で、パーソナリティのなつめぐさんに、上掲の回よりもっと前の回である第835回で、Cast a Radioのことをちょっと取り上げていただいたことがきっかけだった。

そのあとで、私が何も考えずにドングリFMさんに「なつめぐさんゲストに出ませんか」と言ったところから、快諾いただき、ゲストに出て頂き、そのことをまたドングリFMさんで話していただいた結果、そこからリスナーの方が増えた(それは第840回)。

そこから数ヶ月が経って、上述のようにアニメは無事に完結し、Podcastの定期更新も終わった。
せっかくリスナーさんが少し増えたんだからもうちょっと何か手を考えて毎週配信するようなことを考えるという選択肢もあるんだろう。とはいえ、やっぱり私にとってこの番組は最初から終わりの決まった旅なんだという気持ちが強い。
終わりがあるからこそ、人は楽しめたり、エネルギーを注げたりするってこともある。それはまさに、「ダイの大冒険」で主要キャラクターのポップが語っていることにも通じている。「人間は限られた短い命だからこそ、輝こうとするのだ」と。

趣味のPodcast番組が人生レベルでなんか意味があるのか?と言われると、よくわからない。わからないが、そもそも人生の意味というのもないんじゃないかなと私は思っている。
今、やりたいと思えることを一緒にやれる人がいて、なにかをできるということの価値、楽しさを感じる。それで充分。

始めるときが始めるときだし、終わるときが終わるとき。終わりを決められることは幸福なことだと思う。