ダイの大冒険(2020)第6話が放映された。今回はダイとポップの旅立ちから、マァムとの邂逅、クロコダインとの初戦の途中までが描かれた。

今回は91年版と比べてそこまで変わったという印象は少なかった。ライオンヘッドとポップが鬼ごっこする下りはある程度省略されたが。
一番変化したなと感じた点は、魔王軍の6つの軍団の説明シーンである。原作およびそれに準拠した91年版では、ハドラーがひとり語りで(読者・視聴者に向けて)ご丁寧に6大軍団の解説をぶち上げるシーンがある。今回それがどうなるのかなと思っていたのだが、なんと2020年版では、ダイとポップがクロコダインと初顔合わせしたときに、クロコダイン自らが解説するという演出に変化した!これはまったく想像していない演出だった。
ハドラーの一人芝居の出番をなんと部下のクロコダインが奪ってしまったのである(笑)。
とはいえ演出としては原作よりも自然といえば自然ではある。あきらかに元は、読者に対する魔王軍の説明のためにハドラーが駆り出されていた感があったので(そこが面白かったのだが)、今回、対峙するダイたちにクロコダインが説明するというのは、ありといえばありである。

ただ、実際のところ個別の6団長たちが、ほかの軍団や魔王軍の全体構成にそんなに興味を持っているとは思えない、というのが原作を知っている人からすると感じるところではある(笑)。そもそも、軍団長とハドラーが各々が好き勝手なことをやっていて、信頼や連携がほとんど存在していなかったために、魔王軍は、力を合わせて信頼で戦うダイたちに各個に撃破され、3人が寝返り、崩壊していったのだ。その反面教師として、忠誠心とチームプレーで戦うハドラーと親衛騎団が、数人で圧倒的な強さを誇ったのは、まさにハドラーの武人というかリーダーとしての成長の証として描かれる。

とはいえ、クロコダインはもともと、忠誠心に厚いというキャラ設定ではあるので、魔王軍の構成についてちゃんと知っていたとしてもおかしくはないともいえる。これがバランやヒュンケルだったらさすがにおかしいだろ、ということになるので、クロコダインで良かったのかなと思う。
獣王クロコダイン、2020年版では解説王クロコダインの称号もあげたい。

勝手な予想であるが、たぶんこれからもクロコダインにはいくつかの解説シーンがあるのではないかと想像している。

忘れられがちだが、「アバンの使徒」ということばの命名者は何を隠そうクロコダインである。これについては、2020年版ではセリフとして、さらにわかりやすくなった。
「お前たちはアバンの志を継ぐ者、アバンの使徒、というわけだな!」
と、なんと原作にはないかっこいいセリフとなっていた。いやぁ、クロコダイン、美味しいところをもらっている。

そういえば、マァムとポップが険悪な空気になるシーンでは、Podcastで語って予想していたように、ポップがマァムの胸をあきらかに触るという描写は描かれなかった。2020年現在の性的表現に関する社会規範、ならび土曜9時半という放送枠を考えるとごく当然の変更といえよう。

次回、第7話は「マァムの想い」ということで、マァムの旅立ちの決意が描かれるようだ。ダイと長老の会話から、アバンの死を知って、悩みながらも、村人に背中を押されてパーティー入りを決める、序盤の名シーンの1つである。どう描かれるのか、楽しみだ。