ダイの大冒険(2020)の21話が放送された。今回はガチな戦闘シーンはほとんどなく、マァムがダイたちのパーティを一旦離れて1人修行に向かう決心を固め、それを仲間たちに伝え、別れるところまでが描かれた。あとは魔王軍の中では、キルバーンが初登場して、バランが次にダイたちと戦うことをハドラーに告げた。

冒頭、レオナがマリンにベホマをかけるシーン。こちらは原作との一番大きな違いは、ベホマをかけたあとのレオナとマリンのやりとりだろうか。原作ではマリンの「ありがとうございます姫…!私などのために…」というセリフに対して、レオナが「何いってるのよ、顔は女の命でしょ、いつもキレイにしとかなきゃね」と応える。アニメでは「ありがとうございます、ここまでしていただいて」との感謝の言葉に応じるレオナは、「何いっているのよ、こんなことお互い様でしょ」というセリフであった。このあたりは、これまでnoteとPodcastで考察してきたとおり「主人公側のキャラたちが今日の社会的基準からして微妙な発言はしない」という演出の結果なのかなと思う。それ自体は必要な配慮だと思うし別によいのだが、レオナという人物は「強い正義感と、柔軟なリーダーシップ」「王族の立ち振舞と、個人の感情の尊重」というそれぞれ相反しがちな要素を兼ね備えたところが魅力だったりする。そういう意味で、ここでマリンにベホマをかけたのは「個人的共感による自然な行動」の発露だと捉えているので、「顔は女の命」という言葉自体はそれを端的に表したセリフだったと個人的には思っている。ので、アニメだけ見たひとは原作も読んでね、とだけ言いたい(笑)。

あとは、ポップとマトリフが魔法修行でバトルしたあとで、そこで立ち聞きするマァムにマトリフが忍び寄ったところで、マァムがマトリフに回し蹴りを繰り出すという演出が追加された。マトリフはトベルーラで回避するのだが、そこでなんと蹴りは岩を粉砕する。それもなかなかデカい岩である。
アバンはダイに課した修行で、剣で岩を割ることを求めたが、武道家になる前の時点で、回し蹴り一発で岩を砕いてしまうマァムは武器がいらないレベルで強い!アバンはマァムを鍛えた当時、これは見抜けなかったのだろうか…(笑)。

マァムをルーラで送るポップ、そのあとの別れのシーン。個人的に漫画で好きだったポップの顔が「すばらしい仲間だと思ってんだからさ…」のシーン。好きという気持ちをまだ伝えることができなくて、仲間への尊敬という気持ちにギリギリで言い換える、その葛藤がにじみ、涙と鼻水が出ているところ。アニメでも、線はすっきりとした作画になっているが、絵としてはしっかり再現されていた。特に声優さんの声もよくて、上ずって、少し裏返って震えている感じが、良かった。こういうところで、今回のアニメのこだわり具合を感じられる。

魔王軍側の描写でいうと、ピロロのハドラーダメ出し劇場がおもしろかった。原作では過去シーンを薄い色にして、その上にピロロを重ねるという漫画的手法をスタンダードに使っていたが、それをある意味そのままアニメで行うというような形で、過去のハドラー失態シーンを再生しながら、その上でピロロがダイナミック(?)に動いているのが、初めて見るようなアニメの描き方に感じた。

というわけで、今回はそんなところで。次回は「デパートへ行こう」このサブタイトルの字面だけ見ると、サザエさんだ(笑)。