ダイの大冒険(2020)の第22話が放送された。レオナ、ダイ、ポップがベンガーナのデパートに行き買い物をする最中、超竜軍団のドラゴンやヒドラが街を襲ってくるところまでが描かれた。

ふと気になったことは、レオナがダイとポップとともに馬車をかっ飛ばすシーン。描かれている内容は原作どおりなのだが、そもそもこの世界ってウマがいるんだなぁ、ということに気づいた。この世界にいる生物というか種族は、明示的には神、妖精、人間、魔族、竜族、竜の騎士、モンスター、くらいで、あとは緑が普通に生えているので植物も当然いるし、マトリフが釣りをしているので魚もいると思ってはいたが、動物も普通にいるんだな、というのが実はここのシーンからわかる。
動物とモンスターはたぶん明確な区別がつくものなのだと思うが、この世界において動物とは、誰がなんのために作ったんだろう。勝手な推測としては、人間の神が作っているのだろうと思う。動物を活用しているのは人間しかいないみたいなので。しかしじゃあモンスターは誰が作ったのか?魔族の神でもないような気もするが…。色々謎だ。

あとはデパートで乗るエレベータの横のフロア表示板。ええ!漢字なの!と思って、原作を読んでみたら、実は原作も漢字だったことに今回気づいた。さて、これはどのように解釈できるだろうか。ひとつは文字通り、ダイの大冒険の世界では漢字とひらがなが使われている。もうひとつは、我々現実世界とは違う言語を使っているが、漫画の表現としてそれが「上書き翻訳」されている。どっちかというと前者のほうが納得感ある。というのは、キャラたちの必殺技にしても多くが「かっこいい漢字」の技だからこその座りの良さがあるからだ。しかし人名に関しては、カタカナの名前の人物しかいないのもまた事実。興味深い。どういう命名概念があるんだろう。

デパートでレオナたちが購入する、スラまんとスラタピ。スラまんのほうは、ゲーム(ドラクエビルダーズや、星のドラゴンクエスト)に出てくる、スライム肉まんが元ネタらしい(プレイしたことがないので私は確証がないが)。そういえば昔、現実でもファミリーマートだっただろうか、スライム肉まんを展開していた時期があったような気がする。そしてスラタピ、これはもう、時代(2020年という現在)のブームを反映した遊び心であろう。
しかしダイの大冒険世界においては、スライムもモンスターという分類で言えば人間たちからすると敵になるので、それが商品コンセプトに入っていると考えるとなかなかユニークではある。みんなそんなもの食べたいのか、という(笑)。

あとはポップが食べたスラまんから出てきたちいさなメダル。特に使いみちはない、という話され方をする。これはゲームのドラゴンクエストシリーズへのリスペクトとしてのシーンなのかもしれない。ゲームではメダル王が出てきて、ちいさなメダルをレア武器などと交換してくれるが、ダイの大冒険世界では残念ながら本当に使いみちはなさそうだ(笑)。

レオナが試着シーンで着ていたコスチュームのひとつのねこのきぐるみ。これは完全にゲームのドラクエ11に出てくる装備のようだ。といっても私はプレイしたことないので、多分そうだろうという話だが。

今回のエピソードで一番びっくりしたというか、変化を感じたのはメルルの顔である。多くの人が感じたかもしれないが。黒目の割合が、ほかのキャラとほとんど変わりない顔になった。原作のメルルといえば、黒目率の高さで印象的な顔だったが、それは今回の2020年版アニメでは盛り込まれなかった表現のようである。時代の変化というか、全体のアニメの中での馴染み具合を優先したというか、そういう背景があるのかもしれない。

というわけで今回は前回のエピソードに続き、日常シーンの多い話であった。ゲームに絡んだ追加要素(?)も色々あったのが興味をひいた。
さて、次回はダイのアイデンティティ・クライシスの始まりである。