ダイの大冒険(2020)第55話が放送された。ハドラーが竜魔人バランに勝負を挑むも歯が立たず、超魔爆炎覇を阻止されてそのまま黒の核晶を取り出される。バランはそのまま抑え込もうとするも、やってきたミストバーンが闇の衣を取り払った状態になって起爆させたことにより、阻止できず、ついに爆発。そしてバーンパレスが真の姿を現すところまでが描かれた。

今回はダイ好きTVで声優の種崎敦美さんが語っていたとおり、なんとはじめてダイのセリフが存在しない回であった。まあラリホーマで眠っていたから仕方ないのだが、回想ですら登場しなかった。

冒頭、ポップたちと親衛騎団が死の大地で集団戦を繰り広げるところでは、激しい戦闘描写が入れられており、ここはアニメオリジナル演出があり、なかなかいいなあと思った。

そしてそのあとでハドラーと竜魔人バランのバトルが描かれる。迫力はあるのだが、いかんせんバランによる一方的なボッコなのでハドラーがかわいそうな感じが際立つ。ヘルズクローがバランに刺さりもせず竜魔人の表皮で止まっちゃうシーンが一番圧倒的実力差を見せていた。バーンは「獣の巣」のたとえで語るが、いやそういう次元じゃあないと思う…。強化された超魔ハドラーのヘルズクローで傷ひとつつかないのはいくらなんでも化け物すぎないか。まあこれは原作からそうだったのだが、アニメ化されるとよりそこが、その実力差ありすぎ具合が伝わった。

バーンが黒の核晶を爆発させるために魔力を飛ばすところで手がアップされるのだが、あの小指のネイルはなんなんだろうか。趣味なのか?

そして折れた腕でハドラーが超魔爆炎覇を仕掛けようとするシーン。汗がぽたりと垂れるのだが、いや魔炎気をたぎらせているハドラーの身体って超高熱に近いのでは?汗は垂れる前に蒸発しちゃう気がするのだけど。それこそのちに、ハドラーがポップとともにキルバーンのダイヤの9トラップに嵌められたところでポップが「涙もすぐ蒸発するような場所」と言うが、ハドラーの身体もそれに近い気がするんだけどなぁ。

さてそして、バランがバーンの魔力を弾き、そこにミストバーンがやってくるシーン。このときハドラーは、ミストバーンに対して「俺も駒に過ぎないのか?」と訊くが、これに対してのミストバーンの答えが「大魔王様の言葉はすべてに優先する」であるが。改めてミストバーンというキャラのブレなさを感じる。
ハドラーがいわば「勝手に感じていた」ミストバーンへの感情移入。ミストバーンはそれを否定したわけではない。むしろ否定したいのなら、それを否定することもできたはずだ。しかし後に明らかになるように、ミストの心には肉体を鍛えたものへの憧憬があるのだ。だから彼の行動を決める理由はただひとつ、バーンの意に沿うかどうかそれだけにしている。だからブレない。

そういえばミストバーンがバーンの肉体の封印を解くときの、あの割れるペンダントはどういう原理なのだろうか。凍れる時の秘法をなぜ自由自在に制御できるのか、あのペンダントにはどんな力が?説明されることなくのちにミストもバーンも打倒されてしまうのでわからずじまいではあるが。

個人的に今回一番不思議だったのは、黒の核晶が爆発して、地上に巨大な光が現れるシーン。なんと、地上?がゆるやかにカーブしているではないか。こ、この世界はそもそも「球」なのだろうか。
まずゲームについて考えれば、例えばドラクエ3であれば、船で航海していくと、あるサイドまで行くと逆側から出てくるので、どうやら世界の海はつながっている。しかし、アレフガルドに関しては「地下」にあるということから、どうやら球の世界というよりは上下構造があるようにも思える。
そしてダイの大冒険世界はどうなんだといえば、まずそもそも「地上」という名称、そして天界と魔界の情報を総合するに、垂直な層構造になっているような気がする。いわば世界は平面なのだ。だが、今回アニメで描かれたシーンは、結構、カーブしている。まさか球面なのだろうかこの世界は。しかしそうなると、バーンは何をふっとばすつもりなんだろうか。全知全能のバーンが、そんなリサーチ不足の初歩的なミスを犯すとは考えにくいので、やっぱ地上は平面なんじゃないかと思うんだけど、そうなると今回見えたカーブはなんなのか。気になる。

バーンパレスの浮上に際しては、結界を解いたことがバーンの口から語られる。どうして黒の核晶の爆発でバーンパレスが吹っ飛ばないのか疑問に思う視聴者もいそうなので、これはよいフォローだった。

あと、爆発に巻き込まれたポップたちをクロコダインが土中に埋めたという話、これってダイ好きTVでは豊永さんが、初期クロコダインがやっていた地中移動という話があるが、それもありそうだが、親衛騎団のブロックのメドローア回避方法にインスパイアを受けたというほうがちょっと近いんじゃないかと思った。

さてというわけで今回はバーンパレス浮上までだったので、親子の別れは次週ということになろう。次週「受け継がれる心」。紋章もね。


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る