ダイの大冒険(2020)第53話が放送された。ダイとバランによるバーンパレス突入と、ハドラーとの戦いが途中まで描かれた。

冒頭、ダイが無意識で抜いた剣によるアバンストラッシュで瞬殺されたフェンブレン。このときの音楽が、なんだかロボットアニメを彷彿とさせるようなテンションの高さであった。しかしあまりにあっけない。もうちょっと活躍させてあげてもよかったのにフェンブレン。

しかしフェンブレンは高速回転しているのに、ダイに真っ二つにされたのはどういう原理なのか。普通に考えたら、頭?から剣が入ったら、螺旋状にぶった切られそうなものだが。ダイの斬撃が、フェンブレンの回転速度を遥かに上回る超高速斬撃だったということになるんだと思うんだが。うーん、そんなに早く見えないけど。

なお、ダイによる剣の技で縦真っ二つにされた敵はよく考えると物語全体で、3体いる。アバンと出会ったときに襲ってきたガーゴイル、今回のフェンブレン、そして最後の鬼眼王バーンである。物語の序盤、中盤、終盤でバランスよく(?)3体いる、しかもそれが雑魚敵、中堅、大ボス、となっているのもまた象徴的ではないか。

そしてポップたちと親衛騎団の戦いに合流したヒュンケル。やはり移動手段は明らかにされなかった。やはり本命ガルーダ便か、対抗パピィ便か、あるいはノヴァのトベルーラ便なのか。答えは三条先生のみぞ知る、なのか。

さてハドラーは、フェンブレンの単独行動を評して、残っていた功名心や虚栄心と言う。これは原作どおり。だが、果たして本当にフェンブレンは功名心や虚栄心で先走ったのだろうか?個人的にはそうではないように思っている。どちらかというと、復讐心や勝利願望が強かったと見ている。しかしその戦法にしても、決して闇討ちではなく、堂々と魔宮の門の前で立ちふさがっているわけで、以前ハドラーがやった夜襲であるとか、フレイザードが仕掛けた氷炎結界呪法(相手のパワーを1/5にする)などではまったくない。十二分に作戦を練り自らの戦闘意欲を高めきった、格上の相手に勝つための見事な選択ではないだろうか?むしろ今回のエピソードでバーンがハドラーを評して、「自分を追い込むことで極限の力を振り絞る」と言ったことを、地でやっていたのがフェンブレンだという気すらする。
最後の死に様を主君に過小評価(?)されてしまったフェンブレンにはドンマイと言いたい。君はよくやった。ダイがいることを放置していたのが敗因だった。そしてダイのバランに対する想い、すなわち、父親の生命を守りたい、という感情を見抜けなかったことも敗因の1つなのかもしれない。

そのあと、バーンとミストバーンの会話。微妙に原作と台詞回しが変わっていたりした。
そういえばちょっと前にバーンがチェス盤を魔法力?なにかの力で粉々にしているシーンがあるが、あそこにオリハルコン製に見える駒も乗っている気がするのだが。仮にオリハルコンだとするといったいバーンはどんな力であれを消滅させたんだろうか。それともオリハルコンではないのだろうか。なぜなら後に出てくるマキシマムとその部下たちがオリハルコン軍団ということになっているからだ。であるなら、ここでバーンが破壊したチェス駒は、オリハルコンではないのかもしれない。うーん、プラスチック製とか?

そういえばバランがヴェルザーとの戦いの時期について13年前のと明言していた。これは原作にはない。時期的にいえば、たしかにダイが年齢12歳なので辻褄は合っている。しかしよく考えると12歳の少年に世界の希望を託して戦わせているって、人間たちの業もすごいなぁ。いやまぁダイは今回自分で話すように自分の意志として仲間を守り、ハドラーやバーンを打破しようとはしているんだけど。しかしドラクエのゲームシリーズの勇者たちにしても、たとえばドラクエ3の勇者は16歳になった日に旅立つわけで。まあせめて少年とはいえ16歳ならとは思うけど。ダイさん、いやほんとに大変や。差別に苦しみ、このあと親父が目の前で殺され、最後は、「地上を去る」決断をする。改めて思うとダイの人生とは苛酷なものだ…。


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る