ダイの大冒険(2020)第52話が放送された。バランが一時的にダイたちに加わり、魔宮の門を破りに行くまでが描かれた。
今回は冒頭シーンで、原作にはなかった参戦会議シーンが追加された。たしかに原作ではほとんどそのくだりがないままバラン含めて出撃してしまったので、初めてダイの大冒険を見る視聴者含めて、そこにシーンが追加されたのはナイス演出といえよう。
このシーンでは、バランとの共闘をまだ受け入れきれないダイと毅然としたレオナが描かれる。そこでレオナはためらいなく「お父さんと」と言っているのが興味深い。「バラン」ではないのだ。
かつてレオナ自身もバランに殺されかけたものの、この場においては人間たちの指揮官として使える戦力は最大限使うという方針でことに望んでいる、その一方で「お父さん」という情緒的ワードでバランを表するあたりに、レオナの強いリーダーシップと気配りがどちらも出ているように感じる。
そのあと出立の前のシーン。原作では台詞てんこ盛りだったところがアニメ化にあたり、けっこうズバッと台詞が削除されて、大胆な編集がされていた。ポップがヒュンケルに心の中で「ありがとよ!ヒュンケル」というシーンもなくなっていた。
さて、そして父子が旅立った後のポップたちの会話。ふと思ったけどここでさりげなくメルルの肩に手を置くポップ。完全にモテ男の所作ではないか。メルルの顔は完全に惚れている。しかしそれに対して全く気づかないポップ自身、マァム、そしてクロコダイン。
しかし、残ったノヴァであるが、果たして本当に彼の実力は足りないのか?過去のダイログで述べたようにノヴァの実力は相当である。ただ彼はメンタルというか、覚悟の足りなさを感じたというほうが近いのかもしれない。
そして死の大地に着いたマァム、ポップ、クロコダインの、家族をテーマにした会話シーン。クロコダインの人格者ぶりが改めて伝わるシーンであるが。今回アニメオリジナルとして、マァムがポップをぶん殴った時にヒットポイントが削られるオリジナル(そしてゲームリスペクト)演出が入っていたのは興味深かった。原作漫画にあったパラメータ情報が入れられない分、遊びとして入れたのであろうか?
さて、海中に突入したバランとダイが思念波で会話するシーン。このバランの説明は原作では後のハドラー戦で、ダイがハドラーに黒の核晶の存在を教えようとした時にバランがダイを止める時に初めてなされたものである。とはいえ、たしかに今回の海中シーンでも音声会話をしていたら不自然っちゃ不自然なので、むしろここから思念波会話ということにして、説明を入れてしまったのは上手い演出といえよう。これも完結してる原作だからこそできる上手さを感じる。
そして、エピソード後半の見せ場は完全にエイミとヒュンケルである。ここは、原作では、フェンブレンが打ち倒され、バランとダイがハドラーに対面するあとに差し込まれたシーンとなる。それをフェンブレン打倒前に大きく順番を変えた。これはひとつには、ヒュンケルが死の大地に向かう時間のラグを考えたら、早く入ってないと不自然だ、ということがあるだろう。原作では、エイミのシーンのすぐあとでヒュンケルは死の大地に既にいる。これだと若干のワープ感がある。だいたいガルーダもいないしルーラ使いもいないのにどうやってヒュンケルは死の大地に行ったのか謎でもある。
かように考えれば、今回ここでエイミの登場を入れてきたのは、これもまたよい演出といえよう。
そしてエイミさんの大暴れ、である。
ヒュンケルに告白するシーン。まさかの、画面が映画フィルムサイズになっている(笑)。通常の16:9の画面サイズではなく、いわゆるシネスコの2.35:1(9倍すると約21:9)なのだ。
こんなシーンは、今回の2020年版アニメに、私の覚えてる限りでは一回もなかった。なんだろう、このシーンの力の入りぶりは(笑)。
最後に、バランがフェンブレンと戦うシーン。原作からそうだが、なんでこんなにバランは油断してるんだろうか。ダイの方がよほど冷静である。バギクロスが止まったところでノコノコ剣を拾いに行くわけだが、どう考えてもその瞬間は隙だらけであろう。
のちに、ダイが双竜紋に目覚めた後に闘いの遺伝子の話がバーンから出るが、少なくともこのフェンブレン戦のバランには闘いの遺伝子が役に立っているようには見えない。うーん、どういうこと?
【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る