ダイの大冒険(2020)第48話が放送された。ハドラー親衛騎団を食い止めるべくサババに向かったノヴァ、ダイ、ポップが、親衛騎団と向き合う。単独での戦いを選ぶノヴァの必殺がヒムに通じず、逆転を狙うマヒャドもシャハルの鏡に返され、ヒムに殺される寸前で飛び込んできたヒュンケルがヒムに魔槍を叩き込むまでが描かれた。

冒頭のチウの「仲間になりたそうな目で見ているな」はもちろんDQ5以降のゲームシリーズへのオマージュであろう。こういった所々に挟むアニメオリジナル演出がたまらない。

ノヴァが冒頭で披露する闘気弾。これは結局なんなんだろう。闘気をコントロールして飛ばすという意味では後にバーンが超圧縮した暗黒闘気を放ちダイにダメージを与えるが、あれと似たようなもんなんだろうか。
だがノヴァはこのあと使う闘気剣の熟練者でもある。剣に闘気を固めてそれで敵に衝撃を与える。
まったく作品は違うがハンターハンターではオーラを飛ばすのは放出系、オーラを形作るのは具現化系となり作中ではどっちも使おうとするのは筋悪ということになっている。
ダイ世界では闘気の使い方?に得手不得手はあるんだろうか。しかしノヴァの闘気弾をダイたちのパーティメンバーはだれも使えない気はする。闘気剣もおなじく。なぜノヴァはマイナー?な闘気技ばかり使ってしまうのか。ちゃんとした師匠がいなかったのかもしれない。だとすると独学であそこまで使えるようになったのか?であればまちがいなく人間たちの中ではトップクラスの天才ではないのか。ノヴァの不遇に涙が止まらない。

ノーザングランブレードがすごくかっこよく描かれるが、ヒムには実質ノーダメージ。ここまで作中に描かれる必殺技はだいたいかっこいいが当たれば相当な威力を発揮しているケースがほとんどだ。必殺技が当たっても耐えきるケースはちゃんと理由がある。バランのドルオーラは撃った相手も竜の騎士であったからだし、ギガブレイクは吹っ切れたクロコダインの肉体&精神耐久力が尋常ではなかったから。しかしヒムはいかに頭に意識を集中したからといってふっとばされはするもののほとんどノーダメージでノヴァの噛ませ犬感がすごい。
しかしダイ世界では一貫して「意識的防御すれば強くても意識抜いてれば大魔王でも少女に傷つけられる」のはブレてないのでやむを得ないかもしれない。
ノヴァは今後の精神的成長を考えると最初は徹底的にしょぼくていいのだろう。ある意味ハドラーなりポップなりに通じるものがじつはノヴァはある。

そういえばヒムは「人間でいうと柱の角に頭をぶつけたようなもの」というがオリハルコン生命体であり寿命たかだか数日?の彼がなんでそんなことを知っているのか。それに限らず寿命数日は思えない哲学をもっているのが彼等である。これは生み出したハドラーの記憶や情念がコピーでもされているのか?

ヒムはノヴァのことを「無様に生き残るより美しく死んだほうがいいと思うのもいる」と勝手に語るが実はこれはヒム自身がそうだということはのちにわかる。プロモーションするもヒュンケルとのタイマンに敗れた彼は命を取るようにヒュンケルに頼む。これはまさしく「美しい死」の希求だ。しかしヒュンケルにそれを拒絶され、仲間のために生きることの意味を彼は知る。ここで彼が生まれながらに持っていた価値観は反転するわけである。
ハドラーから「一番俺に似ている」と評されるヒムだが、私はそれを「戦闘で宿敵に勝つことに喜びを感じる」ところかと思っていた。しかし手段を問わず勝利に必死という意味ではもしかしたらフェンブレンのほうが上のような気もする。実は勝つかどうかはどうでもよくてその結果ではなく過程にこそ意味を見出す。それはたしかにアルビナスやほかのメンバーは思いもしなかったことである。

まあこれはそれがアニメで描かれたときにまた語ろう!(笑)


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る