ダイの大冒険(2020)第45話が放送された。ポップたちが凍てつく海でダイを探すところで、ザボエラと妖魔士団が急襲。そこにハドラー親衛騎団のヒムがカットインしてザボエラを連れ帰るところまで描かれた。

今回気になったのは冒頭でザボエラが妖魔士団に命令するシーン。妖魔士団たちは「キー」としか言わない。え、しゃべれないの…?妖魔士団というのは魔力の高い、いわばドラクエ的には賢さの高いモンスターや魔族の集まりかと思っていたのだが、どうにも残念な兵たちが多そうだ。まあトップがザボエラだししょうがないか。トップが愚かであると、もし賢い兵がいても、正しく能力を認めてもらえずむしろひどい目に遭う可能性すらあるので、黙っているほうが合理的になる。

チウが出会ったしびれくらげを手懐けるところ。原作にはなかった、チウがしびれくらげに交渉を持ちかける場面が追加されていた。しかしこれよく考えるといきなり飛び込んだポップとクロコダインより賢い。このあとでチウがポップに「頭のできが違う」とドヤるシーンがあるが、あながちホラとも言い難い。水の中にいるモンスターが一番水中活動能力が高いのは間違いないわけで、餌を交渉材料にしてダイを探させるという発想は極めて合理的だ。体力や魔力に優れないチウだからこそ、頭を使うという方向に行ったのだとすると、このチウの発想と行動に学ぶところは多い。
しかし最大の疑問は、なぜしびれくらげが魚をもらうという条件でダイ探しに応じたのかということである。だって、しびれくらげなのだから、自分でしびれ成分を使って魚を仕留めればいいではないか。なぜわざわざチウに釣りなどさせたのだろう。しかも結果的にチウは魚を釣ることができていない。ダイの額の輪っかを見つけたしびれくらげは、仕事をしたのに対価をもらいそこねている。ブラック契約じゃないか(笑)。
しびれくらげは実は全部わかったうえで、最初から魚なんか自分で捕れるのだけど、面白そうだからチウとの交渉に応じたのかもしれない。そう考えると実はこのしびれくらげ、相当にデキる奴なのではないか。

さて、ザボエラが奥義マホプラウスを使い、サタンパピーたちのメラゾーマを自分に集めて放ったシーン。ここも原作にはなかったポップの「呪文で相殺できるか!?」という心の声がはいる。しかし実際にはマホプラウスが放たれた後もポップはダイを背負ったまま、相殺しようとする動きが見られないのはなぜなんだろうか。
そしてマホプラウスの描写が結構強そう。思ったより強そう。この世界では魔法は使い手の魔力に依存するので、サタンパピーのメラゾーマ自体は多分大したことがないが、それでも10発くらい集めて、そこにザボエラの自分の魔法力を乗せたら相当な威力になることは想像される。果たしてポップのフィンガーフレアボムズとどちらが強いのか。ふつうに考えたらザボエラのマホプラウスのほうが強そうなので、ポップは仮にフィンガーフレアボムズを放ったところで相殺できなかった可能性が高そうだ。うーん、どうするつもりだったんだ。
それともメラ系ではなくて、ヒャド系で相殺することにしたのだろうか。しかしそれも結構難しそうではある。

ちょっと話は飛ぶが、のちにポップが真バーン戦の終盤で、バーンの放ったカイザーフェニックスを両手の指だけで分解してバーンをビビらせるシーンがある。あれの原理については、メドローアの応用説と、ヒャド系魔力を集束してカイザーフェニックスの弱点から掻っ捌いた説があると思うのだが、仮に後者だとするなら、その発端は実はこのザボエラのマホプラウスが飛んできたときにあったのかもしれない。

さてこのあとで、ヒムが駒形態から人形態にフォルムチェンジ?するわけだが、この変身シーンが、原作よりなんかもっと生き物っぽい(笑)。原作だと結構ロボロボした感じなのだが、アニメだと効果音も動きももうちょっとぬるぬるっとしてる感じがある。そして輝きがすごい。
これ、映画ターミネーター2のT-1000みたいな感じがあるな(笑)。

そして、最後のほうでバーンがハドラーと会話するシーン。地上をくれてやろうというバーンだが、これを聞くハドラーがまったくヘコヘコしていないし功名心も見られない顔をしている。原作だとハドラーの顔が小さくてわかりにくかったが、アニメだとハドラーの顔にクローズアップしているのでその様子がよく分かる。
武人ハドラーにとっては、もう正直地上征服に興味はない。しかしバーンはその心中を知ってか知らずか、魔王と名乗るがよいと言い放つ。この微妙なギャップが、のちに自らに黒の核晶が埋められていたことをバランに指摘されてからの反逆劇につながっていく。


【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る