ダイの大冒険2020(第60話)が放送された。今回は破邪の洞窟に4人パーティで挑む過程の前半と、ダイとノヴァの修業風景、ポップのしるしが光らない苦悩が描かれた。
今回改めて破邪の洞窟が描かれたのを見て思ったのだが、破邪の洞窟にいるモンスターたちは魔王軍の手下扱いになるのだろうか?アニメのセリフから判断するには、神々が力のないものに魔法を身に着けさせないようにする障害物としてモンスターを置いたというような話だが、となると魔王軍とは関係ないと考えるべきだろう。
そもそもモンスターたちには魔王軍かどうか、という基準は存在しないと考えるべきかと思った。モンスターが存在する、それが魔王の邪悪な力に支配されると魔王軍のモンスターになる、という順番かなと。で、魔王の邪悪な力が世界中に広まっている時代には大半のモンスターたちはそれに影響されてしまうが、チウのように学びによって邪気を跳ね返すこともできたり、あるいは獣王の笛で呼びつけて倒すことで「部下モンスター」という属性になり、これもまた魔王軍の邪気支配よりも強い「上書き」をし続けることができるということなのかもしれない。
ということは考えようによっては、破邪の洞窟のモンスターたちは、そもそも破邪の洞窟自体が破邪パワーがあるために魔王軍の邪気が入ってこないために、もともとの神々の命令として、「侵入者を排除せよ」というようなところに従っているんだろうか。
さて、破邪の洞窟に挑むパーティ編成のところのあとで。原作にはなかった、レオナがノヴァに、ダイとの修行を頼むシーンが追加されていた。たしかに、これがある方がこのあとの流れはスムーズになる、というかレオナの気の利き具合と、ノヴァの「心の開かれぶり」が伝わりやすくなるのでいいと思った。
そしてご想像どおり、ポップの着替え覗きシーンは、「覗かない」ことになってた。あくまで聞き耳を立てるにとどまるかたち。ただし、マァムのしるしが光るところで、その赤い光がポップにも見えるようにはなっていた。
このあとでポップは自分のしるしが光らないことに苦悩していくことになる。ここは原作でも屈指の「ポップへの読者の感情移入」の展開であるが、アニメにおいても豊永さんが感情をこめてすてきな演技をされていた。
そもそもダイの大冒険という作品は、ダイとポップが2大主人公であるが(私はハドラーが3番めの主人公であるという説を唱えているが・笑)、ダイがひとり語りで苦悩するシーンというのはあまり多くない。それに対すると、ポップというのはよく一人で苦悩している。序盤では逃げることへの葛藤だったり。マァムへの思いだったり。もちろんダイも悩みを口にすることはあるが、だいたいの場合は誰かポップなり聞き手がいることが多い。それに対して、聞いてもらえるわけではなく一人悩みが多いのがポップというキャラの描かれ方の特徴に思う。そこが、ふつうの家出身という出自も含めて、読者からの共感が生まれやすいところになるのだろう。
そして破邪の洞窟に挑むパーティのシーン。ダイ好きTVでも語られていたが、ゲームのオマージュが色々と入っていたのが遊び心として面白かった。ツボを見かけたら見たくなる、というのは、ゲームのドラクエや、あるいは不思議のダンジョンなどのゲームを遊んだプレイヤーにとってはあるあるだ。
あとはフローラがムチでスライムを追い払ったあとのマァムの「さすが女王様」に対して、レオナがSMの女王様を想像してツッコミを入れるシーンも、まあもちろんカットされていた(笑)。そりゃ視聴者層考えてもそうなるわなと。このあたりは着替えシーンもそうだが、ジャンプマンガという媒体(=一定のお色気要素が人気につながる)と、2020年現在の朝時間帯のアニメという媒体の違いと観るべきだろう。
あ、そういえば、ダイとノヴァの修業シーンでダイの胸のしるしが光るが、そのときダイは修行によって技を増やしてバーンを妥当する決意を語っている。だがのちに明らかになるように、ダイのアバンの使徒としての資質は勇気ではない。勇気こそがポップなんだとわかるわけだ。そしてダイの資質を、レオナは「純粋」ではないかと想像する。モンスターに対する偏見のなさなどを根拠として。
だが、この修業シーンでは純粋、ではないような気がするのは私だけだろうか。どちらかというとこのシーンは、闘志、に近い気もしている。あるいは、「あきらめない心」が近いような。実際、ダイははじめてのバーンとの闘いでも心が折れそうになりながらも立ち上がるし、また最終決戦の真バーン戦でも、バーンの策略を砕くために不屈の意志で立ち上がる。個人的には、ダイの特性は「不屈」あたりがフィットするんじゃないかと思ったりするんだが、さて。
また、ポップがしるしを光らせようとするシーンでメドローアを撃っていたのがオリジナルだと思うがよかった。たしかに彼が魔力をからにするまで自分を痛めつけるなら、メドローアを撃つのが順当である。もしかしてこのときの修業がのちの魔法力アップの伏線だったりして。
【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る