ダイの大冒険(2020)第39話が放送された。今回は、ダイがロン・ベルクのところで剣を作ってもらいはじめるシーンが描かれ、同時にパプニカに襲来する鬼岩城を人間たちの部隊が迎え撃つところが描かれた。

まず、ロモス王とクロコダインの再会(?)がオリジナルシーンとして追加されていた。たしかに、一度は命を奪われかけ、というよりも「殺す価値すらない」くらいのことを言われてしまったロモス王がクロコダインと再会したときの気まずさみたいなものは何かしらあったはずで、それが描かれたことに、改めて今回のアニメの丁寧さを感じた。

私は前回第38話を見た後のPodcastで、「多分偽勇者たちの登場は全カットでしょう」と予想していたのだが、今回ばっちり登場していた。鬼岩城が洋上にいるシーンとパプニカに近づくシーンで、2回も。これは予想を外した。やはり物語の最後の最後でミラクルを起こす偽勇者でろりんパーティをここで出しておくのは大事だという判断になったのか。

ベンガーナ王が戦艦でサミットに乗り付けるシーンも今回描かれていた。アキームとクロコダインの最初のウマの合わない様子もしっかりと。

ダイがロン・ベルクに剣を作ってもらうシーンでは、原作にあった「おれたちお金がないんだけど」という金銭的事情の話は一切なかった。まあ、ロン・ベルクは金目的で仕事してるわけじゃないというのは明白なので不要といえば不要だったのだとは思うが、逆に言うと初めて会った魔族のロン・ベルクの真意を測りかねて「お金を払えないんだけど」というダイの一般人的(?)な配慮はそれはそれで貴重だった気もする、ということを改めて感じたりもする。

そして登場鬼岩城。相変わらずデカイ。ベンガーナの軍艦をひとつかみである。しかしふと思ったのは、鬼岩城のサイズはどれくらいなのかということ。原作コミックの解説ページによると、全長145mらしい。あれ、思ったよりも小さい。てっきり、300mくらいはあるのかと思っていた。
果たしてこんな身長で軍艦を握りつぶせるのだろうか?

歴史上の軍艦サイズを少し調べてみた。
まず、太平洋戦争で撃沈された旧日本海軍の世界最大戦艦である戦艦大和は全長263m。さすがにこれはデカイ。でかすぎる。
参考: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46302530Z10C19A6AA1P00/

帆船型の軍艦を調べてみる。
1853年に日本にやってきた、いわゆる「黒船」の米国艦船は4隻あり、2隻ずつで蒸気船タイプのものと帆船タイプのものが混在していた。今回ダイの大冒険に出てくるベンガーナの軍艦は帆船に見えるので、帆船タイプで考えよう。帆船タイプの黒船のサイズは、サラトガ号が全長45.7m、プリマス号が44.8mとある。この程度なら、鬼岩城でがんばれば持てないこともないかもしれない。しかし鬼岩城も全長が145mしかないので、たとえるなら身長145cmの人が45cmの船の模型をもったら、かなり大きく見えるだろう。片手で持つとかなりはみ出る。
参考: http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/Museum/Muse015.html

今回のアニメの描写からすると(鬼岩城が145mなら)、船の全長は30mもないように思う。しかも、たかだか2隻。この程度で魔王軍を倒せると思っていたのだとすると、やはりベンガーナ王は戦局がまったく見えていなかったということなのかもしれない。

港に迫りくる鬼岩城と、それに戦いを挑むベンガーナ戦車部隊の構図は、音楽も含めて完全にゴジラ映画を彷彿とさせた(笑)。
今回アニメ化された鬼岩城は、CGでダイナミックに描かれ、そういう意味ではゴジラというか、巨大ロボット物だという見方もできるかもしれない。
いずれにしても、とにかくでっかい城と人間たちの集団が戦うという、ある意味でもっともダイの大冒険の「いつものバトル」とはかけ離れたバトルが楽しめるのがこの鬼岩城シーンの面白さかもしれない。
ゴジラ的、ロボットもの的、さらにいうとドラえもん的な感じもある。ちょうど「のび太の海底鬼岩城」を読み返していたのだが、名前も含めて、ダイの大冒険の鬼岩城は多少ドラえもんオマージュもあるのだろうか?

と鬼岩城を語っていたらだいぶ長くなってしまったので今週は終わりにしたい。ジャンクやポップの話は、Podcastで!(笑)

【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る