ダイの大冒険(2020)第11話が放送された。今回は、ヒュンケルの鎧化から、過去のアバンとの経緯が語られる。そして闘魔傀儡掌、クロコダインの助太刀と、ガルーダがダイとポップを逃がすまでが描かれた。
今回も、かなりテンポのよい進行で描かれた。とはいえ、そこまで明確に原作からカットされた場面はなかったように思う。時間的な、尺の制約がある中でも原作へのリスペクトを持ちながらつくっていっている2020年版のスタッフの皆さんに改めてお疲れ様、ありがとうと言いたい。
引き続き、ダイの大冒険のアニメを楽しませていただきたい。
さて、今回のエピソードではヒュンケルの鎧化が描かれた。原作では比較的あっさりした描写だが、アニメではいわゆる「変身シーン」として、アニメならではの見せ場になる。
91年版では少年向けロボットアニメ的な雰囲気もある変身シーンであったが、2020年版では、金属が伸びて身体に絡みつくというよりも、煙状の状態から瞬時に鎧になるような描写であった。このあたりも、時代を経ての変化なのだろうかと思うと興味深い。
あとはヒュンケルの回想シーンの中でふと気になったのは、2020年版の地獄の騎士バルトスが「あまりにもきれい」だということである。今回のバルトスは、あまりに白い(笑)。そして歯並びがきれい(笑)。骸骨モンスターなのに…。なお91年版のアニメを見てみると、茶色いし、歯並びもだいぶ悪い。しかし魔王軍のモンスターだと考えると後者のほうが自然な気もするが…。いやしかし、バルトスは魔王軍の中でも気高い精神を持っていたという設定なので、やたらきれいな2020年版のほうがコンセプト的には近いのだろうか。
画像については本noteのカバーを参照いただきたい。
あとは、ヒュンケルの闘魔傀儡掌の色と描写が91年版とは違うことも面白かった。原作では当たり前だが、白黒で色はない。2020年版では、紫色の波動として描かれる。紫色は、高貴な色でもあるが、一方でアニメやゲームなどでは、紫色は闇のパワーの色として表現されることも多い。特にドラゴンクエストでは、3のラスボスであるゾーマに特に紫色のイメージが強い。プレイヤーがかけている強化呪文をすべてかき消してしまう「凍てつく波動」が紫なのが印象深い。今回のアニメの表現がそれの影響があるかどうかは不明だが、いずれにしても紫はなかなかフィットした色だと感じる。
なお参考までに91年版を見てみると、色以前に驚くべき点があった。闘魔傀儡掌を繰り出すシーンの背景が、なぜか宇宙であった。そして星が煌く宇宙の中で、ヒュンケルの手から蜘蛛の糸のように放たれた白い闘気がダイを束縛する。うーん、なぜこの演出になったのか…。
△参考画像: いてつくはどう(SFC版ドラゴンクエストIII, スクウェア・エニックス)
というわけでふと思ったことを記した。
次回のエピソード名「ふたりのライデイン」。わりと質素なタイトルが多かった2020年版の中で、このタイトルは個人的にはちょっとおもしろかった。カップルで放つ技なのか…みたいな(笑)。