ダイの大冒険(2020)第19話が放送された。今回は中央塔でのフレイザードとの再戦開始から、ダイが空裂斬をフレイザードに決めるまでが描かれた。
今回のわかりやすい原作からの違いは、爆弾岩の存在がまるまるカットになったことであろう。原作だと、フレイムとブリザードがダイの進撃を阻もうとするときに、爆弾岩のメガンテを誘発してしまうというギャグ的なシーンが存在していたが、2020年版アニメでは一切それはなくなっている(フレイムとブリザードを撃破するシーンは今回でも存在している)。
結果的に、ダイたちに加えてヒュンケルとクロコダインをも敵に回して、モンスターですらも味方がいないという孤軍奮闘ぶりが目立つフレイザードであった。観客はいないものの、圧倒的に目立つフレイザード。生みの親のハドラーはヒュンケルに敗れており、ミストバーンもザボエラもいない中で、本当に1人きりであった。
のちに超魔生物と化したハドラーが、ダイとバランの竜の騎士タッグに対してたった1人で死の大地で迎え撃つ場面がある。ミストバーンはその戦力差に関して「自殺行為としか思えない」と評し、大魔王バーンは「ギリギリまで自らを追い詰める作戦」と評したが。
実は魔王軍の中で、結果的にそれをやったのはフレイザードが最初だったということになるだろうか。うーん、まさしく切り込み隊長。
今回、フレイザードが命をかけて放つ捨て身の大技「弾岩爆花散」。一発で漢字変換できない難しい技だ。漫画で読む分には、漢字が分かるので、表音文字である漢字の特性を活かし、なるほど意味がわかりやすいのだが、いかんせんアニメでは漢字が出てこない。おそらく今回のダイの大冒険のアニメが初見となる視聴者にとっては、最後まで「ダンガンバッカザン」の漢字はピンと来なかったのではないだろうか、といらぬ心配をした(笑)。
アニメエピソードのCM明けのジングルのところで、技紹介が1枚絵で入るが、そこでも弾岩爆花散は取り上げてもらえなかった…。そして今回フレイザードのコアがぶった切られてしまいもう弾岩爆花散は打てなくなってしまったので、もう技名もアニメで紹介されることはなさそうだ。これは漫画を買おう!という仕掛けなのだろうか。それは考えすぎか。
あとは今回のアニメの良いなぁと思ったところとして、フレイザードがマァムに心配(?)されて、「手柄が欲しい」と功名心を全開にして語る名シーン。ここで流れる音楽が実にハマっている感じがした。何の楽器かが私には分からないのだが、若干の物悲しさというか、孤独感というかが漂っていて、これまで述べてきたように孤独に戦うフレイザードの語りの背景としては実にピッタリに感じた。音楽担当の林さんの曲を、ナイスチョイスで合わせた、名演出と言えそうだ。
あとは空裂斬を最終的に完璧に決めたシーンの描写が興味深かった。なんというか、完全に剣豪のそれ、というダイの描かれ方なのである。そして、ダイがいうセリフが「切った…手応え、あり」。剣を鞘に収める立ち振舞も含めて、このへんはルパン三世の石川五右衛門あたりの「アニメで描かれる剣豪の挙動」を意図的に盛り込んでいるように思った。実際はどうなんだろう。
そして最後、フレイザードがコアを切られて、両半身を繋ぎ止められなくなるところで、半身がズレたところのドアップで終わる。ズレイザードさん…。
次回は、鎧武装したフレイザードがアバンストラッシュで撃破されるところが描かれるはずだ。極められたアバンストラッシュの描写に期待!