アニメ「ダイの大冒険」(2020年版)第2話が放送された。
第2話を見た率直な感想は、2つある。
①「ああっ、パピラスがいない!」
②「こんがり、しなかった…!」
漫画原作読者なら、なんのことか分かっていただけるかもしれない。
①は、ダイが魔のサソリと闘うシーンである。
バロンが魔法の筒から出現させた魔のサソリ。まずそもそも原作では、ダイはパプニカ兵が落としたヤリを拾って、魔のサソリに斬りかかる。しかし刃が通じず、レオナからもらったパプニカのナイフを思い出し、持ち替えるというシーンがある。
2020年版では、そこがカットされて、いきなりダイはパプニカのナイフで斬りかかる。
そして原作では、魔のサソリの弱点を心臓だと見抜いていたダイは(なぜなら彼は島のモンスターに精通しているので一般的なサソリに詳しい)、友達のパピラスの力を借りて、空中から落下してナイフを突き刺すという戦い方を見せるのだった。これは91年版アニメは、まったく原作と同じである。
2020年版では、パピラスは呼び出されない!ダイは戦いの流れの中で、崖の上に駆け上がり、そこから飛び降りて魔のサソリの心臓を突く。
②は、竜の紋章の力を発動させたダイと、キラーマシーンに乗ったバロンの対決である。
最後にダイのベギラマを、キラーマシーンの亀裂から受けたバロンが破れたあと、原作では「こんがり」という象徴的な擬音と共に、髪がチリチリになっている様が描かれる。
これは91年版アニメもほぼ同じ。こんがりしている。
2020年版では、こんがりはせず、あっさりと倒されるシーンが描かれた。
この2つシーンの描き方から感じることをそれぞれ書いておきたい。
ひとつめ、①のシーンに関しては、前回のnoteで書いたとおり「短縮」である。ダイがパピラスの力を借りなくても魔のサソリを倒せる事、それ自体は別に違和感はない。ただ、原作を知っていると、「短縮したのかな」と率直に思う。
ふたつめは、②のシーンに関しては、ギャグ要素の排除である。排除というと表現が少し強いかもしれない。
原作においては、それまで非道を尽くし、キラーマシーンの暴力に魅入られたバロンという男が、最後にこんがりという擬音とともに髪がチリチリになることで、物語の毒をいったん取り除き、平和と笑いが戻ったことを示しているように思われる。
2020年版だと、そこがカットされたことで、とくに笑いという要素は入ってこないように感じた。
いずれにせよ、これは良し悪しではなく、2020年版の「新しい演出」だと捉えている。
引き続き、第3話も楽しみたい。