ダイの大冒険(2020)の第9話が放送された。今回は、ポップが勇気を振り絞ってクロコダインに立ち向かい、その後竜の紋章を発動したダイがクロコダインを撃破するまでが描かれる。
先週Podcastでは、クロコダインが倒されるまでは描かれないのでは(尺の都合上)と予想していたのだが、実際にはクロコダイン敗北までを放送した。想像以上にテンポよく、凝縮していった感がある。91年版ではポップが駆けつけてからクロコダインが倒されるまで3話程度かかっている(16〜18話)ので、今回の凝縮はこれまででも特にダイナミックだったといえる。
というか、今回の放送によって、これまで”1.5倍速”程度だった91年版と比べての展開の早さが、一気に平均で2倍速程度まで上がったことになる(91年版では18話でクロコダインを倒すので)。とはいえ今の所、2020年版において、明らかにエピソードの核を削るということは観察できていないので、2020年版スタッフが皆さん、原作をリスペクトして、いかにそのうえでテンポよく作るかを努力されているのだなと思う。
2020年版と91年版の違いとして、一番目に止まったのは、クロコダインの血の色である。ダイのストラッシュの直撃を受けて、91年版では赤い血を吹き出るクロコダインだが、2020年版では深緑色の血が吹き出ている。カバー画像参照していただきたい。これは結構な変化のように思う。
なぜ赤い血の色を変えたのだろう?率直に考えるなら、土曜午前9時半の放送で低年齢の子どもも見ているので、赤い血が吹き出るシーンは子どもに恐怖心を与える可能性があるため、人間っぽくない色の血にして、むしろ血というよりもなんらかの液体が出ているような描写にしたということが考えられる。しかし、それをするくらいなら、よく時代劇で描かれるような、切られたけれど血は出ない、という描写でも良かったんじゃないかという気もしている。
ダイの大冒険において血の色は結構重要で、魔族は青い血、人間は赤い血、というのが対比されて言及される重要なシーンがいくつかある。
ひとつは、バランがダイと戦う中で竜魔人に変身するシーンで、ヒュンケルが血の色が変わることでバランが「人間を捨てて」戦う様を驚きを持って語っている。
もうひとつは、超魔ゾンビにノヴァが立ち向かうときに、それを身体で止めるロン・ベルクが、ノヴァに種族の違いで命の価値に違いはないと諭すシーンである。
といっても、どちらの文脈でも「人間」か「魔族」かが焦点であって、爬虫類モンスターのことは関係ないのだが…。
種族によるアイデンティティ、差別、そして群集心理、というのもダイの大冒険のひとつの大事な裏テーマだと思うので、このあたりは引き続き着目していきたいところだ。
なお、科学的にはワニの血の色は赤いそうだ。血色は酸素を運ぶ化合物に規定されるので、ワニは人間と同じくヘモグロビンがそれに当たるため、だそうだ。ワームの類には、緑色の色素が含まれるものもいるらしい。
甲殻類、節足動物は青色のヘモシアニンだそうだ。これを当てはめると、魔族は甲殻類に近いのか…?
科学が、ダイの大冒険の世界にどこまで意味があるかはさておき想像する分には面白い(笑)。
次回は、ヒュンケル登場まで進んでいく。