ダイの大冒険(2020)第81話が放送された。タイトル「ホワイトガーデンの決闘」。ラーハルトが生還の理由を語り、ヒュンケルから鎧の魔槍を再びその手に受け取った。また、ミストバーンと戦おうとしたダイたちのところにキルバーンが送り込んだジャッジの鎌が現れ、アバンを異空間に誘い、そこで決闘を始めるところまでが描かれた。
今回、エピソードタイトルに注目したい。まず、これは原作では「白い宮殿の決闘!!」というタイトルで1話が描かれていたところがあり、そこから持ってきているわけだが、アニメだと、漢字とひらがなのほうではなく、ふりがなとしてのカタカナのほうをタイトルに持ってきている。ダイの大冒険の原作では、漢字仮名交じり文に対してカタカナでよみがなをつけることが多いが、エピソードタイトルとするときはカタカナにまとめたほうがわかりやすいというのは、そうだろう。前回の「チェックメイト」もまさにそうだった。
で、今回の「決闘」の部分だが、私はてっきりこれは、ダイたちとミストバーンのバトル開始のことを指して決闘と言っているのだと20年以上思ってきた。だが、今回アニメを見て、はたと気づいた。まて、ミストバーンとの闘いのことを、「決闘」と読んで良いのか?と。
コトバンクから「決闘」の意味を引いてきた。
憎悪や不和、あるいは栄光や名誉回復のために、相互の同意により、あらかじめ打ち合わせたルールを遵守して行われる闘争のこと。一般の決闘は、本人あるいは代表者による1名対1名でなされるが、1名対数名、あるいは数名対数名の場合もある。
https://kotobank.jp/word/%E6%B1%BA%E9%97%98-59704
そう、私が感じた違和感の正体はここにある。すなわち、1vs1でない闘いを決闘と呼ぶことは一般的感覚からちょっとズレている、ということなのだ。もちろん上記引用にあるとおり、1vsNであっても決闘と称してよい。ただ、ダイ、ポップ、マァムの3人とミストバーンの闘いを決闘というのはなんか違う気がする。じゃあ、罠つぶしから帰ってきたアバンとミストバーンの闘いが決闘なのかといえば、アバンがジャッジに連れ去られたために決闘未遂に終わってしまった。そして、キルバーンとアバンの闘いはたしかにキルバーンが語るようにフォーマットはこれこそ決闘なのだが、場所がホワイトガーデンではなくて異空間である。
なので、「ホワイトガーデンの決闘」というタイトルは、よく考えると「ホワイトガーデンの決闘未遂」+「異空間の決闘」の間の子なんじゃないかと思うのだ。
とまあタイトルのことを長く書いてしまった。それはさておき。
ヒュンケルがラーハルトに対して「ただマシンのように敵を倒す…」というところ。野暮なツッコみだが、そもそもヒュンケルがマシンのように敵を倒していたところってそんなにあっただろうか。それこそ、ボラホーンからポップを救うときはすでに戦局よりも弟子を救うことを優先していた気がするのだが…。
鎧の魔槍を受け取ったラーハルトの変身シーン。完全にセーラームーンでしたね(笑)。
そのあと、ヒムとヒュンケルの会話でヒムが「救世主〜!?」というところはアニオリだった。
合流したチウたちと、ヒムの最初の会話シーン。ここでヒムが涙を流しているのが、よく考えるとすごい。そこまでヒムは思いやりと情緒にあふれるようになったのか。メンタルの成長速度でいったら全キャラ1なのではないか。
そしてホワイトガーデンに場面が映るが、なにを置いても噴水がすごい。円形に吹き出る水。戦闘の場になりうる城の中にそんな壊れやすそうな噴水置いといていいのか。あるいは、ここはディズニーランドなのか。
戻ってきたアバンとレオナに対して、ダイやポップが言葉をかけるシーンで、ゴメちゃんが口笛を吹いていた。え、ゴメちゃんって口笛吹けるんだ。すげーな。
アバンが懐からミエールの眼鏡を出して目につけるところ。原作どおり、ダイたち3人がひっくり返るシーンが描かれていた。終盤では珍しくなってきたギャグ演出に、ちょっとほっこり。
とそれはさておき、このミエールの眼鏡は、元ネタというかルーツはウルトラセブンの変身アイテム「ウルトラアイ」なんじゃないかと思うのである。アバンが「でゅわっ」と言っているのも、なんかそんな匂いを感じさせる。前回、マキシマムが逃げるときに「シュワッ」みたいなことを言って飛翔離脱したあたりも含めて、三条先生は仮面ライダーのみならず、ウルトラマンも普通に大好きなんじゃないかと思われる。
おりしも、ちょうど「シン・ウルトラマン」が公開中であり、テレビ放映のABパート間のCMで、なんとシン・ウルトラマンのCMが流れていた。このミエールの眼鏡を見て「セブンみたいだなー」と思っていたあとにシン・ウルトラマンのCMを見たので、めちゃくちゃびっくりした。
罠つぶしのハンマーを振り回すアバンは、なぜかちょっと「外国人タレント」みたいなしゃべり方で、そしてBパートに入ってから「ぶんぶんぶん、ミエールの眼鏡とハンマーで罠つぶしてぶんぶんぶーん」という謎の小芝居というかギャグが入る。
これもアニオリだが、アバンの、正義の側における「道化師ぶり」を描いているようで面白い。
そして、ミストバーンから話しかけられた後で、アバンがハンマーを床に落とすが、ごんごんという結構重そうな音がした。どうでもいいけど、このハンマー、どうやって持ってきたんだろう。やっぱり、弁当入れてたのとおなじく、魔法の筒?
ミストバーンの演説シーン。原作では「六大団長」となっていたが、アニメでは「六大軍団長」と正しい表現?に直されていた。
演説中、なぜかホワイトガーデンの水が湧き出る噴水から、水の噴出量が増える演出が入った。これは何を意味しているんだろうか。ミストバーンがテンションが上がると、周囲の水の量でも増やすのか?まさか水見式…。
演説を終えたミストバーンから、暗黒闘気のようなオーラが周りに出てきた。これは原作になかったアニオリだ。
そしてこれ、前も思ったんだが、この場面のミストバーンの意図は結局なんだったのか。闇の衣をつけた状態で、ダイ、ポップ、マァム、アバンの4人に勝つつもりだったのか?たしかに凍れるときの秘法がかかっているとはいえ、単純な戦闘力としては、ロン・ベルク1人にほぼ抑え込まれていたことを自分で忘れているのだろうか。たしかにロン・ベルクは反則的に強いとはいえ、ダイの剣を持ったダイにまさるほどではないだろう。しかも、破邪の秘法を得意とするアバンまでいては、まともに暗黒闘気を通用させることも難しく、そしてポップのメドローアを浴びたらいかにミストバーンでも即死である。どうやっても勝てる公算が見当たらない。
結局、キルバーンというかジャッジの乱入でこの闘いは流れるが、ミストバーンの意図は不明なままであった。
アバンがミストバーンにバトルを持ちかけるシーン。原作ではアバンのやや後ろにジャッジの異空間の歪が出てくるが、アニメでは一瞬そのカットが差し込まれていた。
ミストバーンがアバンを引きずり込む鎌を見たときに、キルバーンではなく、ジャッジの鎌だと確認するときに、わざわざ鎌の形が塗り替わる演出が入っていたのが興味深い。
連れ去られるアバンと、アバンの意図を汲み取ろうとするレオナのアイコンタクトシーンが、ここが丁寧に描かれているのはよかった。それこそ昨今「セリフがないと視聴者が理解できないからなんでもかんでもセリフにしてしまう」みたいな話であるとか、あるいは倍速再生の是非みたいな話とかがあるが、今回この無言のアイコンタクトシーンは、「セリフがないところの動きにこそ、意味がある」を描いていて、味わい深い。
どうでもいいが、なぜここでミストバーンは、ダイたちに「決闘」の秘密をバラしてしまうのか。ダイたちはみなアバンがキルバーンによって暗殺またはどこかに連れて行かれたと思っていたのに。やっぱりキルバーンの主はヴェルザーであるからして、ミストバーンにとっては基本的にはどうでもいいのだろうか。
さて異空間でのアバンとキルバーンの会話。キルバーンが、しれっと「ロボット」とジャッジを説明するのだが、あれ、このダイの大冒険の世界ってロボットって普通にいるんだっけ。いや、キラーマシンなどはいることは明らかであるが、ロボットというのはほかに描かれていなかった気がする。このあたりは興味深い。
そういえば、ジャッジのロボットは、額に3つめの目があり、これが開いたり閉じたりしているのが面白いのだが、なぜ額の目などというものがあるんだろうか。額の目というと、それこそ大魔王バーンの鬼眼しか思いつかないが…。ひょっとして魔界の強者には額に鬼眼がある人たちがほかにもいて、それになぞらえているのか?
そして決闘がスタートして、キルバーンの突きがすごい。こんな連撃ができるとは!ここまでの連撃を見たのは、マァムがかつて滝壺の修行でパンチで水滴を撃ち抜いていたときくらいである。
しかし、アバンの受けた傷は顔の小さい傷くらいにしか見えないのだが、これで65というのはどういうダメージなのか。
まあ、マキシマムのスキャンによるHPの数字がほとんど意味がなかったことを考えると、ここでジャッジが述べている数字は、全部適当な数字なんじゃないかと思うほうが整合するように思う。ジャッジがマキシマムのようなスキャンをしているとも思えないし。闘いを盛り上げるためにテキトウな数字を言っているんだと想像すると、それこそキルバーンの小道具っぽくて面白いではないか。
【Podcast】 Cast a Radio 「ダイの大冒険」を語る