アニメ「ダイの大冒険」(2020年版)第3話が放送された。
変な話、特に今回はあまりコメントしたいと思う箇所がなかった。
だいたい今までのところ、原作あるいは91年版アニメとの比較で考える事が多かった。しかし第3話に関していえば、91年版と比べて尺を短く収めている(それはもう2020年版の宿命であり特徴)ことの他には、目立って思うことがない。
強いて言うなら、ダイがアバンから借りた剣で2体目のガーゴイルを倒すシーンが気になった。原作および91年版では、斬撃を受けて海が割れたあと、「なんだ、なんともねぇじゃねぇか」とガーゴイルがうそぶいたのち、実はダイの斬撃によって真っ二つにされていた、という倒され方をする。これにより、ダイの攻撃のすさまじさというか、「切断面の鋭さ」が表現されているわけである。斬られたあともしゃべれてしまうくらいの鋭い斬られ方をされているのだ。
対して2020年版では特にガーゴイルはしゃべることなく真っ二つになる。尺の都合上、やむを得ないところかと思う。
加えて1点。非常に細かい発見なのだが、91年版でアバンが大岩を持ってくるシーンをよく見ると、持ち方が物理的に無茶苦茶である(笑)。大岩の端っこを持つのにまったくふらついていない。いかにアバンが超人的とはいえこれはちょっと厳しいのではないか。それに比べると、2020年版では大岩の下を持つような形になっている。さらに岩も多少は小さいサイズになったように見える。
あとはBGMについて。91年版を視聴した方はよくご存知のとおり、ゲーム・ドラゴンクエストの音楽が効果的に使われているのが91年版のアニメとしての特徴である。ダイがガーゴイルに勝ったシーンのあと、仲間のモンスターたちと喜ぶシーンにおいて、「この道わが旅」(ドラゴンクエストIIのエンディングに流れる曲であり、91年版のエンディング曲でもある)が流れる。
ほかにも、様々な場面でドラゴンクエストの曲が使われる。ゲームファンにとっては嬉しい演出だ。
対して2020年版では、ドラゴンクエストらしい音楽はほとんど使われない。これはおそらく2つ理由があると思う。1つはそもそものドラゴンクエスト、特にファミコンやスーファミのゲームをプレイしていない若年層が視聴者のメインターゲットであること。彼らからすると、特に思い出のある曲ではない。もう1つは、短縮化の影響によるバランスのとり方である。ゲーム音楽をBGMとして使うからには、それなりの尺で、充分に流したいと思うのがおそらくは作り手としても考えることではないだろうか。しかし各シーンをテンポよく進めるのが2020年版では至上命題の1つになっているので、そことのバランスのとり方が難しい。であるがゆえに、演出としてはドラゴンクエスト音楽の採用は限りなく見送ることにした。こう予想している。
逆にいうと、2020年版で、今後見せ場となるようなシーンでは、ドラゴンクエストのゲーム音楽が使われる可能性もゼロではないのかと思う。それを少し期待しながら、引き続き観ていきたい。